自分と仲間    (園便りNO.6)

幼稚園に「熱い」「勢い」を感じる遊びが展開され、久しぶりの活気を心から「楽しいね」と子どもも言い、子ども同士も、子どもと教師も、教師同士でも言い合っています。二学期は、一学期の経験をもとに、更に仲間同士の「温かい心」を深く育てていく時です。始業式でお話ししましたように、自分のやりたい遊びや、友だちと計画した遊びを通して、予定通りにいかないこと、心が合わないこと、努力を必要とすること、目標を定めなおすこと、強い心でチャレンジすることなど、そのような経験を味わいつつ、それ以上に仲間がいる幸せや、励まし合える仲間の存在に気づきながら、課題を乗り越え、目標を実現させていく素晴らしさを味わっていく貴重な時期なのです。
年長組のけんせい君は車いすに乗っています。彼は、大工が得意です。宇宙船ごっこでも、操縦機を作りましたが、様々なアイディアを伝えてきます。そんな彼が、「バスケットゴールを作りたい」と言いました。とても得意なのだそうです。担任のまり子先生は、今は車椅子のため、縄跳びができないことに配慮し、箱に入れるバスケットを楽しめるようにしてきた一学期でした。さて、私と二人で設計図を書き、ガレージにいい木がないか見に行きました。作る気満々です。材料を膝に乗せ、作る場所まで運び、車椅子から降りてノコギリが始まりました。どこからともなく、木を押えてくれる友だちが現れました。応援してくれる仲間が加わりました。電動ドライバーで穴を開ける時には、「俺がやってあげる」「いや俺がする」「俺できる」と、取り合い、譲り合いの時間が流れました。どっちから金槌で叩くとやり易いかなど、アドバイスも飛び交いました。ペンチを用意し、慎重にネジを止める子がいます。年中組の子も手伝いに加わりました。まだ、製作は道半ばですが、「俺、バスケットやってみたかったんだー」「けんせい君、いい考えをありがとう」「けんせい君は、どのぐらいの高さに挑戦するの?」「一番高くするよ」「明日も手伝っていい?」・・・
「けんせい君の思い(自分)」から始まったことでしたが、「自分たち(自分が入っている)」の活動へと進んでいきました。けんせい君にとっては、全部自分でやりたかったのかもしれません。しかし、わいわいと言い合いながら、仲間と折り合いをつけながら、結果、一緒に製作を楽しむことを選んだのです。片付けながら彼は言いました、「よし、明日は仕上げるぞ」と。

自分が人生の主役であり、自分自身をしっかりもっている子に育てたいと、親なら誰もが願います。本当の主体性は、実は、社会(集団)の中で他者と協調しながら、養われていくものなのです。そうでないと、独りよがりで、わがままな子になってしまいます。

みんなの中の私、そしてみんなと私( I  as  We, We as  I )
                                                                                  
もし、私が、「これはけんせい君が計画した事なの、だからけんせい君に『入れて』とか訊い
てね」「仲良く順番に道具を使うのよ」「あなたが木を押える人、あなたはこの道具でやってね」「みんなで頑張るの」などと言ったらどうでしょう。それでは、「みんなの中の自分」や、「みんなと自分」を味わうチャンスは消え去り、大人に指示されたことを指示されたようにする経験にすり替わってしまいます。
私たち教師は、子どもたちが、明日も、あさっても自分たちのものだと、未来を確信して、希望をもって意欲的に遊び、その中で学び、主体的に生きる喜びを味わえる毎日を積み重ねていく二学期を過ごせるように支えていこうと願っています。
二学期も、ご協力よろしくお願いします。

*9月の予定*
3日 つぼみ組学級懇談会
5日 たんぽぽ、ゆり組学級懇談会
14日 運動会
16日 運動会予備日
17日 運動会振替休日
18日 なにぬねのの日
19日 あそびましょ、おはなししましょ
24日 なにぬねのの日
25日 誕生会
26日 秋の遠足
27日 私立幼稚園教育研究大会の為休園
28日 New Ohana’s LIVE