「もし、『愛』が宿っていなければ」(園便りNO.14)

近年、産婦人科でも、科学的なデータをもとに、様々な技術の革新がなされ続けています。胎児の生存率も高くなりました。胎児についての研究も深くなりました。母胎の中で、すでに胎児は、お母さんの声が分かって生まれてくること、音楽を聞かせると、好きな曲とそうではない曲の反応を示したり、出産前に行った場所やお母さんの会話を記憶できる(出産してから忘れていく)、また、お母さんが興奮すると、神経内分泌といって一種のホルモン物質が分泌され、赤ちゃんの体内を回って、一緒にイライラしているのだそうです。それくらい、お母さんと胎児は生まれる前からしっかりと絆で結ばれているものだということが分かりますし、胎児のうちから子育てが始まっていることに驚かされます。
「乳幼児期」は、「外界と共に存在する時」と言われています。お母さんと自分を中心に捉え、少しずつ外の世界を知っていきます。「学童期少年期」は、「外界に向かって生きようとする時」と、言われています。「なぜなんだ」「どうしてこうなるんだ」そのようなことを「客観的」に捉えられるようになっていきます。「青年期思春期」は「外界に対して自分の意志をもつ時」と言われ、反抗心が芽生えていきます。主観的にものを考えるため、常識というものに挑戦しようとしたり、社会の権威というものを否定してかかるその中で、主観的にものを考え、「自分ってなんだ」「人間てなんだ」という、ものの見方を身につけながら、自我が出来上がっていくのです。
そのように考えると、子どもが大人になるまでに、様々な心の変容があり、様々な経験が必要である事に気づかされます。今、年長組では、「♫人の旅は、行くだけさ、一度の旅よ~♪心残りのないように 命を燃やして~♪」という歌をうたい合っています。それぞれの成長期を心残りなく過ごせたらと祈らずにはいられません。
ところで、「成人期」を生きている、私たちはどうでしょう。客観的に物事を捉え、判断できる時期を生きています。しかし、近頃の成人は、人との「間」の取り方が下手になっているという話をいろいろな所で耳にします。好きになるとベッタリで、お手洗いも、飲み物も、食べ物も一緒、ところが、意見が食い違うと、沖縄と稚内くらい離れてしまって、顔を合わせるのも嫌だというような、丁度よいところで「間」をとることができない人が増えてきたというのです。
『ヨハネによる福音書』に、「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった。万物は言葉によって成った」と記され、『ヤコブ書』には、「言葉は火である。小さな火が森を焼きつくす」と記されています。言葉によって意志を表示し、言葉によって慰められ、励まされ、叱正され、批難され、言葉によって賞讃され、罵倒されるなどなど、言葉が空気のようになっていますが、空気と同じように、人間の生命に絶対的な力をもっていることを忘れないようにしなければなりません。昨日、『老年期』をどっぷりと過ごしている耳の遠い母に、「今、なぜ怒鳴ったの?」と言われました。怒鳴った覚えはありませんでしたのでビックリしましたが、「耳が遠いので、大きな声で言ったの」と返しました。すると、「私は、耳なんか悪くないわ。失礼しちゃう」と、言うのです。ムラムラとしたものが私の中で燃え始めた時、電話が鳴りました。母に間違いない電話でしたので、「電話が鳴っていますよ」と言うと、「聞こえないわ。この電話ったら、いつの間にか音が小さくなったのね。NTTにお知らせしておいてね」と言い、電話の向こうの友だちと、でっかい声で楽しく話をしていました。私は、ヤコブさんとヨハネさんにもし会えたなら、「言葉に「愛」が宿ってなければ、だめですよね」と念押ししたい気持ちになりました。こひつじ幼稚園の子が、兄弟のケンカに「愛がないからだよ」と言い、お父さんとお母さんの口げんかを見て、「二人の愛は、どこへ行ったのか」と正した話は、以前にもご紹介したことがありましたね。愛をもって、言葉が添えられる成人でありたいものです。
さて、一年間の終わりがいよいよ迫ってまいりました。年少組と年中組が、この頃、お別れ会や卒園式に向けた相談をしています。年長児はその情報を知り、「してくれなくていいんだよ」「本当にお別れが来る」「どうしたらいいんだ、この気持ち」など、複雑な思いを吐露し始めました。4学年とも、それぞれの学年らしさで、大きくなる喜びとともに、複雑な思いも感じているようです。その事を全教師で丁寧に受けとめながら、愛のある言葉を投げかけていきたいと思っています。
ゆり組の子どもたちに「思い残しがないように過ごそう」と言いましたら、どこからともなくこの歌が・・・・。「人の旅は、ゆくだけさ、一度の旅よ~♪心残りのないように 命を燃やして~♪」一年間、「人生年表」を見ながら、『今、この時に』と意欲的に過ごしてきたことでした。どの子どもも、次のもう一歩を踏み出し、大きな社会へと船出すれば、更に育ちゆく子どもたちだと言えます。その子どもたちが30人いることを覚えて、この先の幸せを共にお祈りしたいものです。

保護者の皆様、こひつじ幼稚園の教育をご理解いただき、ご協力も頂き、この一年間を心豊かに過ごしてこられました。皆様から折にふれ、感謝の気持ちを伝えられ、実感させていただき、教師たちも心強く前に向かって進めました。教育は、すぐに答えの出るものではありませんが、私たち教師は、こひつじ幼稚園の教育に確信をもって当たっています。これからも、学び合い、志を高く持ち、教育に全力を尽くしてまいりたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。 感謝!

 

3月の行事予定

1日 お別れ会

2日 ママゴスペルコンサート、ゆり組学級懇談会

5日 誕生会

6日 後援会費監査

9日 つぼみ組、たんぽぽ組学級懇談会

14日 第65回卒園式

15日 わくわく学級懇談会

16日 修了式