「 心置きなく手放しで 」(園便りNO.5)

暑かったり、寒かったりしてますが、春真っただ中です。北海道の春は、次々と花が開き、美しいですね。私は、藻岩山の中腹に住んでいます。子どもの頃は、普通にリスやキツツキが庭に来ました。冬には、50羽以上の渡り鳥のキレンジャクが、羽を休めに来ることもありました。今では、住宅が建ち過ぎ、ほとんど見なくなりました。近年は、キツネやタヌキ、裏には、クマが出る(ニュースに近所のおばさんが出ていて、知りました)場所となっています。冬の夜、「ケーン、ケーン」と鳴くキツネの声は、子どもの頃に読んだ物語を思い出させます。

先日、自宅からほど近くの山に行ってみると、カッコウが鳴いていました。昔、年寄りから、カッコウが鳴いたら、「畑のことをしなさい。カッコウは、本当に春になったということを告げに来てくれる鳥なんだよ」と、聞かされたものでした。私は、虫や鳥のことを調べるのが大好きな子でしたから、カッコウの生態について話をすると、大抵の年寄りは、暗い表情で「わがった、もういい」とか、「悪魔だな」とか言いました。私も調子に乗って、だんだん怖い声で話したものです。良い機会なので、『園便り』にも書きとめておきます。

カッコウは、4種類いると言われています。共通しているのが「カッコウ」という鳴き声です。大体が東南アジア、インドネシア、マレーシアあたりから来ると考えられていますが、ちゃんとした記録はありません。春から初夏にかけ、子育てする季節に、自分自身の命を存続させるだけでなく、卵を産んで子どもを育てるために食物を求めて、日本に来るのではないかと言われています。しかも、なんと4種類のカッコウはみんな、托卵の習性をもっています。というより、托卵でしか繁殖しないのです。自分以外の鳥の巣に卵を預けるのです。例えば、カッコウがヨシキリの巣にやって来ると、ヨシキリの卵を口にくわえ、自分の卵をそこに産み落とします。数秒の速さで抜き取って、産むのです。その逆はありません。数合わせができるのです。しかもその方法だと、自分の卵を間違って抜くというミスがおきません。ヨシキリの親は、自分の産んだ卵と似てない卵は捨てちゃうことがあるので、カッコウは近くで見張っています。普通の鳥は、4個くらいしか産みませんが、カッコウは最高25個くらいは卵を産むので、25軒のヨシキリ家にその早業をし、はじくヨシキリの卵は、栄養として食べてしまいす。そして、子育てはせず、自分の人生を楽しむのです。カッコウは10日くらいで、ヨシキリはその2,3日くらい後に孵化します。ヨシキリより1日か2日早く孵化するわけです。ということは、カッコウはヨシキリの産卵日をちゃんと観察し、相手が卵を温める時期を見ているわけです。孵化した雛は赤い大口を開け、餌を催促します。2日後から生まれてくるヨシキリの子を背中に乗せ、巣から落としたりもします。ヨシキリの親を独占するためです。普通の鳥は背中がトンガっているのですが、カッコウの雛は背中がへっこんでいて、卵や生まれてきたヨシキリの雛を落とすのに都合よくできているんです。赤い口は、思わず親が餌を入れたくなってしまう色です。ちなみに、スズメは濃い黄色です。有名な写真で、鳥が池の鯉に餌を上げる写真がありますが、それも、池からバカッと大口を開けたその色に反応する習性が鳥にあるからです。カッコウは、1ヶ月半もの間、ヨシキリ母さんの世話になります。ヨシキリの4倍はある大きな身体の子どもに、4倍分のエサを運ぶのは容易なことではありませんから、餓死するカッコウも出ます。ヨシキリ母さんは、ずっと騙されたまま子育てし、巣立たせるのです。話が止まらなくなりそうなので、ここまでにします。年寄りが、「悪魔だな」と言った意味がお分かりかと思います。でも、別の見方もできます。どの親も、自分の持ち味を生かしつつ、子どもを産み育てるのに必死だということです。

さて、4月から2ヶ月が過ぎ、初めてこひつじ幼稚園に来た子どもたちも、環境に慣れ、自分らしさを表現し始めました。2年目、3年目の子どもたちは、自分を発揮できる場所を見つけ始めました。私たちは、それぞれの子どもに発達段階があり、ゆっくり楽しみながら育てていこうと確認し合っています。年少組を覗くと、子どもたちは常に動いています。作ったものを身につけては踊り、好きな時にジャンプにチャレンジし、ケンカをし、心の赴くままを楽しんでいます。年中組を覗くと、自分たちで染めた紙を虹のお城にして、学級の仲間と見立て遊びを楽しんだり、2人の教師が車椅子の友だちにしている様子を目にし、自分も同じように大切に関わろうとする姿があります。また、すごく意地悪なことを言ってみて、友だちの反応を見て、お互いの思いをぶつけ合う様子も見られます。年長組では、大きなタライにミミズや、ダンゴムシや、ワラジムシ、キンキラアオムシ(羽虫)に、カイコまで加わり、虫の観察、感触を楽しんだり、ヒメジオンの花には「妖精がいる」と、妖精との出会いを夢見ています。そして、大工に勤しんだり、みんなが喜ぶことを意識して計画を立てたりしています。これらの幸せな時間の経過の中で、限りなく「その子らしさ」を育てたいと願っています。

保護者の方も、この2ヶ月に様々な事をお考えになったことでしょう。本当に、こひつじ幼稚園でよかったのかなと思われた方もおられるかもしれません。2ヵ月間の我が子の心の高まりを感じて、やっぱりこれでいいのだと思ってくださると幸いです。こひつじ幼稚園という「巣」に、心置きなく手放しで、お預けください。成長を一緒に喜び合いましょう。

 

7月行事予定

3日 幼稚園見学説明会

4日 歯科検診

7日 ミユキタンゴ

9日 オカリナLIVE

なにぬねのの日

10日 視覚支援学校交流

12日 誕生会

17日 なにぬねのの日

19日 夏祭り

視覚支援学校交流

20日 終業式

23日 お泊り会