「新たな「学びの始まり」」(園便りNO.1)

桜前線のニュースを、「こちらまでは、まだね」なんて他人事のように思いつつ、北海道の長くて厳しい冬は殊の外で、柔らかな太陽の光にわくわくしている自分に気づきます。
温かな「The 春」の預かり保育の日、子どもたちは園庭で自転車を乗り回していました。口々に「春だね」と言い合いながら、必要以上のスキップをしているうちに、だんだん暑くなり、ジャンバーを脱ぎ捨て、「本当の春だね」とうなずき合っていました。太陽に向かって、「春ですね」とも話しかけていました。花壇の満開のクロッカスに、「春だって気がついて、生まれてきたんだね」とも話しかけていました。その目線の先に、小さなアリを見つけた子が、「先生、温かいって、喜んでいるよ」と言いました。広げた小さな手のひらに、ワラジ虫を歩かせ、「ワラジムシも風邪ひくのかい?」と尋ねていました。園庭の端っこに転がっていた拳ぐらいの石を見つけ、「雪が溶けたら、自然に出てきたんだよ。石がすごいの?太陽がすごいのかい?」と友だちと語り合っていました。クシャミと共に鼻水が垂れました。私の方に近寄ってきて、ニヤーっと笑って、「鼻水もあったかい感じだ。拭いて!」と言いました。なんて楽しいのでしょう。子どもの一つ一つの気付き、言葉、表現・・・。 
私は、春の陽射しの中、園庭にゴロンと寝転んで、「あー、幸せだなー」と、そんな思いに浸りました。夢中で遊んでいた子が近寄ってきて、「こんなところに寝っころがったら、服が汚れちゃうよ」「自転車にひかれちゃうよ」と現実に呼び戻されました。「せっかく、いい時間だったのに」と思っていたら、後ろから、いたずら顔で残雪をかけ、「まだ冬ですよー」という子がいました。みんなで大笑いしました。
子どもたちは、関心のあるところで遊びながら、思い思いに春を感じ、様々な表現を楽しみつつ、新しい季節を味わっていました。これが、「学びの始まり」です。遊びで味わった匂い、空気、雰囲気、手触り、友だち・・・、様々な記憶や感情を心に刻み、次の経験の中で、気温について具体的に知る、太陽について具体的に知る、花の育ち、つまり植物の命を具体的に知る、虫の育ち方、命の営みを具体的に知る、自転車に乗った時の風当りから速度を知る、そして自分を知るようになるのです。いろいろ具体的に知りたい心を揺らし、知識(経験知)として蓄えていくのです。これが、本当に「学ぶ」ということに他なりません。ですから、先ず「やりたいことを見つけて、やってみる」ということが大事なのです。
私の心にメロディーが流れました。「ぱらぱら落ちる」という讃美歌です。
 1番 ♪ ぱらぱら落ちる雨よ 雨よ  ぱらぱらぱらとなぜ落ちる
「乾いた土を柔らかにして きれいな花を咲かすため」
 2番 ♪ ちらちら落ちる雪よ 雪よ ちらちらちらとなぜ落ちる
「葉のない枝に温かそうな 真綿の服を着せるため」
 3番 ♪ きらきら光る星よ 星よ きらきらきらとなぜ光る
       「旅する人が暗い夜にも 迷わず道を行けるため」
 4番 ♪ ちゅんちゅん歌う鳥よ 鳥よ ちゅんちゅんちゅんとなぜ歌う
       「寂しい人の心の内に み神の愛を知らすため」
子どもたちの心が、様々な経験を通し、豊かに温かく育ってほしいと願います。
こひつじ幼稚園では、「いたずらぽんちき」という言葉が共通語にあります。家でできないこと、してはいけないこと、やってみたいと願っていたことは、やっていいのだ。つまり、いたずらをしていい、そんな意味が含まれている造語です。一人一人の子どもが何に興味をもち、何がその中(内面)で起こっているのか、育っているのか、その様な子どもの心情や意欲を、保護者と教師が確かめ合いながら、大切に育てていかれたなら幸せだなぁ、と春の風に吹かれながら思いました。
幼稚園は、幼稚園という学校です。学ぶところです。様々な学びの中で、様々な事象に出会い、自分の心に向き合い、自分を知り、自分の「ステキ」を生かし、その心が豊かに育ち行くよう、教師が一丸となって支えていきます。新年度も、どうぞよろしくお願い致します。

4月の行事予定

9日 着任式・始業式
12日 第66回 入園式
16日 ゆり組 学級懇談会
17日 たんぽぽ組 学級懇談会
19日 つぼみ組 学級懇談会
   個人懇談開始(27日まで)
23日 わくわく組始業日
26日 誕生会